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よくある労働トラブル事例 Q&A

よくある労働トラブル事例

身近な労働トラブル あなたの会社は大丈夫ですか?!

最近多いんですよね…セクハラの相談

都内でレストランを3か所経営しているオーナーです。

A店舗のパート社員から店長がセクハラをすると訴えがありましたが、プライベートなこともあり、二人で話しあうよう伝えました。しかし結局パート社員はやめてしまいました。

プライベートの部分に立ち入るのはだめですよね。今後どのように対応したらよでいでしょうか。

店長がセクハラをするという訴えがあった場合、プライベートな事にも配慮しながら、双方また周りから事実確認を行う必要があります。

二人で話しあうよう伝えたとのことですが、男女雇用機会均等法では、事業主はパワハラの事実があった場合は、再発防止や被害にあった方のケアを行わないといけません。

このような場合、事実関係を速やかに正確に把握し、事実であれば被害者のケア、加害者への適切な処置を行うことが責務として課せられています。
セクハラトラブルを放置すると男女機会雇用均等法違反となる場合があります。

またセクハラを起こした本人は不法行為責任を問われる可能性がありますし、その行為が職場で密 接に関連している場合は会社の使用者責任が問われます。

今は昔と違って表面化しやすくなり、深刻な社会問題になっています。相談窓口の開設や啓発活動、社内ルールの規定を事前に構築し、安心して就業ができるような環境整備は急務です。
A社で部下を疎ましく思った上司が部下の個人的な性生活や交友関係を職場関係者に対し触れ回ったそうです。結局部下は職場環境が悪くなり、退職することになりました。この件では上司はもちろん、使用者も「被用者が働きやすい環境を保つよう配慮する注意義務がある」として、適切な対処をしないことに、事業主も不法行為責任を負わされました。

就業開始時間ギリギリなんて・・・せめて15分前には出勤しようよ。

製造業の社長です。私が若い頃は30分前には職場に来て準備したものでした。最近入社した新人の社員が始業時間ギリギリに来るので、15分前出勤を命じたんです。そしたら賃金を要求されました。全く、最近の若い者は困ったものです。

通常、始業時刻前に余裕を持って出勤される方がほとんどだと思いますが、その場合労基法上の働時間をいつにするかという点が問題になります。始業時間前に出社した場合、労働時間としてみなされる場合は、労働時間としての実態があるかどうかがポイントになります。

労働時間の実態とは、勤務時間の開始前15分間を遅刻としてカウントしたり、業務が行われる(ミーティングがある、業務に必要な準備が指示されている)などです。

その場合労働時間の実態とみなさる可能性が高いです。
社長や上司が就業開始時間を指示してしまうと、「仕事の一環?」と思ってしまいがちです。

あくまでも働く心構えとして、余裕を持った出勤を促すのであれば、社員研修などで余裕を持って出勤することの大切さを促し、各自が自主的に行動できるようにしていきましょう。
A製造業の会社では始業時間前に作業着や保護具の装着、準備体操、副資材などの受出を会社から指示されていました。一部の従業員よりその時間は時間外労働にあたるとして、割増賃金の支払いを争いました。判例では労働時間は就業規則などで判断されるのではなく、使用者の指揮命令下に置かれていると客観的に判断されるので、労働時間にあたると判断されたケースがあります。

適正能力がないので、降格人事を実施したのですが・・・

保険会社の社長です。

A支店の支店長はあまり接客態度が良くなく、いつもお客様からクレームが来ています。どうも営業に向いていないようです。また部下の指導もできていないようです。何度も本部より指導をしたのですが改まりません。この度支店長から窓口業務のない総務課係長へ降格させましたが・・。何かと不満を口にしているようです。何か問題になりますかね。

人事権は職業能力に応じて職務やポストの配置を行うものです。労働契約上当然に予想されうるもので、使用者の裁量権が認められます。

ただし、業務上、組織上の必要があるかないか、労働者がその職務・地位にふさわしい能力・適正を有するか否かなどを考慮して判断する必要があります。降格人事を行うにあたって、使用者の私的な判断が加わるなどすると、不当な対応として問題になるでしょう。
役職に応じて必要な能力、求められる人物像を明示し、人事評価の中にも組み入れ、見える化をすることで誰もが納得のいく人事制度を構築することが大切です。

そして各従業員も自分の能力、評価がどの位置にあるか、振り返る必要があります。制度を作っただけでなく、定期的にキャリアを見直せるキャリアカウンセリングなどの導入もおすすめします。
窓口業務の責任者を任せられていた副支店長ですが、度重なる客からの苦情があり、支店長という役職には適格ではなかったようです。再三の注意にも関わらず態度が改まらなかったため、業務課係長への降格処分を行いました。そのことで、副支店長は会社を訴えましたが、人事権行使についての使用者に広範な人事権が認められたケースがあります。ただし、公正に本人の能力・適正を評価しなければなりませんし、、降格によりあからさまに不利になるような異動や業務上必要ない異動、降格は裁量の逸脱になることも付け加えられています。

退職した後に同業者に就職してもらっては困るのに、就職するなんて!

電子機器製造会社社長です。わが社独自の製品もあるため、入社の際は在職中、退職した後も競業避止特約を交わしてるのですが、この度退職した社員が別の会社に入社したようです。

特約違反で何らかの慰謝料を請求しようかと思うのですが・・・・。

退職した後の競業避止特約に関してですが、労基法上では特段の規制はなく、当事者間の合意に委ねられています。

ただ、退職した後まで競業避止義務が課せるかは、労働者の職業選択の自由とも関係するため、無条件ではないようです。

使用者の不利益の程度、労働者の不利益の程度、社会的利害の3つの点から判断をされるようです。その特約を根拠としての競業避止の差し止めは限定され、単に同業社に転職したような事案では慰謝料などの請求は難しいかもしれません。
退職後にも競業避止義務の契約課すという事であれば、「これを課す事の必要性」「規制の対象とする業種、職種業務内容や期間」「地域の限定」「代償措置」などを考え、書面で取り交わす必要があります。

ただ、裁判まで発展すると、悪質性などが認められないと慰謝料の請求などは難しいかもしれません。

各従業員の良心に委ねられる部分もありますので、在職中から社内教育などの充実を図り、お互いの信頼関係を築くことが大切です。
A社で治金用副資材の製造・販売の従業員と退職後の競業避止義務特約を締結していました。その従業員が退職後、競業会社の取締役に就任したことから、当会社が特約違反行為の差止を求めました。結局、この特約は「制限期間が2年」「制限の対象が比較的狭い」「技術的秘密であること」「在職中に秘密保持手当が支払われていたこと」(この事件は秘密保持義務違反特約についても争われました)」などから差止の仮処分申し立てが容認されました。特約をしたから必ず効力があるのではなく、その特約が適正、公正なのかが必要となったケースです。

長期病欠している社員がいます。もう復帰でないように思えますが辞めてもらってもよいですか?

洋服販売の会社の社長です。

もうかれこれ1年以上うつで休職をしている社員がいるんですが・・・。なかなか体調がよくならないようで、本人も前の業務には復帰ができないような事を言っています。もう退職を進めようと思いますが、何か問題がありますか。

休職は法律上の制度ではなく、就業規則や労働協約によって定められる制度です。

まずは貴社の就業規則にどのように記載されているかです。

休職制度が30日未満など明らかに労基法違反でない休職期間を設けてはおらず、休職期間が満了しても治癒しないという事であれば、会社のルールに従って問題ありません。

しかし、本人が前の業務には復帰できないと言っている場合、別の業務であれば就労可能であり、本人の希望もあるのであれば、配置変えやリハビリ出勤などを提案していく事も大切です。安易に退職を勧奨するのはよろしくありません。
例えば精神疾患により休職を余儀なくされた場合、従前とは同じ業務に就くことが難しい場合もあります。どのうな業務であれば可能なのか、また復職に当たって、徐々に勤務日数などを増やすリハビリ出勤を取り入れる必要があるのかなど、しっかり本人や医者の意見をヒアリングし、職場復帰プログラムを作成する必要があります。

社内で事前に職場復帰支援プログラムを作成し、関係者の役割を明確にし、周知することで、どの部署で休職者がでても的確に対応でき、求職者の方も安心して療養することができます。そして、貴重な労働力の損失も防ぐことができます。それにより、すべての従業員が生き生きと働くことができます。
車両整備に従事していた社員が病気になり、3年間休職をしていました。しかし復帰ができないということで、退職扱いになってしまいました。しかし、その社員は復職したいと思っていたため、この退職は違法であると争うことになりました。この場合は、休職前の業務につけなくても、そのほかに就業可能な業務への配置を打診するなどの配慮が必要だとされました。

半年前に入社したアルバイト、無断欠勤しているんです・・・。

半年前にアルバイトを雇ったのですが、突然来なくなってしまいました。電話をしてもつながらないし・・・解雇で問題ないですよね。

通常就業規則などで、一般に無断欠勤が14日以上続く場合は退職事由の規定に組み込まれている場合が多いと思います。

また解雇の場合は、労基法上も解雇をするには30日前までに予告するか、30日分の平均賃金を払うことが使用者に義務付けられています。しかし、「2週間以上正当理由なく欠勤し、出勤に応じない」場合は労働基準監督署に解雇予告が不要という認定を申請することができます。

ただ、何らかの事件や事故に巻き込まれている場合もありますので、家族に連絡を取ったり、自宅へ出向いてみるなども含めて慎重に判断をすることをお勧めいたします。
解雇の場合形式上は無断欠勤2週間以上という事であれば、解雇予告除外認定を受けることも可能でしょうが、事故や犯罪に巻き込まれた従業員を懲戒解雇にすると、世間的な批判がでるかもしれません。家族に連絡を取る、自宅へ出向いてみるなど連絡を取るよう努力しましょう。

また解雇を行うには、会社の意思表示が必要であり、簡易裁判所を通じて公示送達を送る必要がでてきます。解雇ではなくあらかじめ、就業規則で当然退職事由に規定しておくことほうがトラブルは少ないかもしれません。

いずれにせよ、連絡が取れないことは心配ですので、少なくとも2週間は時間をかけて行方不明の原因を調査することが望ましいでしょう。
所在不明者に対する懲戒免職処分について、その方が地方公務員だったので、県は妻に人事発令通知書を渡すとともに、県公報に通知内容搭載しました。県公報が解雇の意思表示に当たるか争われました。本来は公示送達すべきところですが、この場合は県公報に掲載する方法は有効となりました。一般の企業では、県公報には載せれませんので、公示送達が適当でしょう。

同一賃金、同一労働って、パートも正社員も同じ給料を払うということですか?

スーパーを経営しています。同一労働、同一賃金が法制化されたと聞きましたが、同じ仕事だったら誰でも同じ賃金を払わないといけないのですか。スーパーなのでパートさんがすごく多いのですが、正社員と同じ給料と言われてもピンとこないです。

正規職員、非正規職員問わず、同じ仕事をさせているなら、同じ賃金を支払うべきという制度です。

この同じ仕事とは「仕事の内容」、「配置転換」、「責任の度合い」などの物差しを当ててみて、正規と非正規で両者の仕事に明確な違いがあるかどうかという事です。例えば、正社員はクレーム処理があるが、非正規にはないといった場合は責任の重さ、役割が違い、同じ仕事ではなく、合理的な違いがあるとみなされます。

しかし全く同じ責任なのに給料に差があるのはおかしいという事になります。

「非正規だから」という理由で正社員と賃金の待遇差を設けてはだめだという事です。
社労士のコメント

同一賃金・同一労働を導入していく上で、まずは貴社の雇用形態(正社員か嘱託社員かアルバイトなのかなど)を把握しましょう。そしてそれぞれの社員の基本給をはじめ、各種諸手当を洗い出し、すべての項目についてどんな基準で支給しているか明確にしましょう。そして雇用形態で差があるのであれば、その理由を口頭で説明できるように用意をしましょう。もし不合理があるのであれば改善計画を立て実行しましょう。
判例

令和2年10月に「非正規に賞与や退職金を支給しなくても不合理でなない」という判決と「非正規に年始年末手当を支給しないことは不合理だ」というそれぞれ真逆の判決が相次いででました。

判決はあくまでもこの裁判の中で登場する企業の中の正規と非正規の話になります。一律に非正規に賞与は払わなくてよい、年始年末手当は支給しないといけないではありません。

「仕事の内容」「責任の度合い」「配置転換」の物差しを当て、前者は「仕事に明確な違いがある」後者は「所定の期間出勤しているか否か」が判断基準で責任の度合いなどは関係ないと判断されました。

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